研究会の目的


シリサイド半導体関係講演の速報・報告

 

■2014年春季第61回応用物理学関係連合学術講演会

2014/3/17 − 3/20
青山学院大学 相模原キャンパス 


探索的材料物性では,シリサイドおよび探索的材料に関連した合計38件の発表があった.講演奨励賞受賞記念講演(東大)を含む探索的材料では,化合物半導体,Siクラスレート,酸化物,窒化物といった多彩な材料の理論,物性評価に関する興味深い発表があった.シリサイド半導体に関しては, BaSi2薄膜太陽電池開発にむけたスパッタ法や真空蒸着法等の新規作製方法,不純物添加技術,粒界でのポテンシャル分布に関する研究(筑波大,名大,東芝)など,グリーンテクノロジーを目指した基礎と応用研究が多く発表され,着実に進展しているとの印象を受けた.β-FeSi2ではCu添加による正孔の閉じ込め効果の発現(九工大),スパッタリング法による高品質薄膜の作製(鹿児島大,東工大)に関する発表が興味深いものであった.その他,Mg2Si, CaSi2,Fe3Siにおいても新たな基礎物性に関する発表が多数あり,全体を通じて活発な議論がなされた. (担当:寺井(鹿児島大),末益(筑波大))

■2013年秋季第74回応用物理学会学術講演会

2013/9/16 − 9/20
同志社大学  

探索的材料物性では,シリサイドおよび探索的材料に関連した合計29件の発表があった.講演奨励賞受賞記念講演(九州大学)を含む,β-FeSi2, BaSi2, Mg2Si, Fe3Siなどのシリサイド半導体関連では, グリーンテクノロジーを目指した成長技術の進展,そして光学特性の向上に関する発表があり,着実に研究が進展していると感じられた.熱電変換素子材料として期待されているMg2Siでは,アモルファスおよび高品質薄膜が作製され(岐阜大,東工大),p型伝導や光吸収係数の増大という結果が報告され,活発な議論がなされた.クラストレート,カーボン系新規材料に関しても,作製技術,構造解析の着実な進歩を感じる発表が多くあった.特にSiCにおける特異な電子状態を理論的に明らかにした報告(東大)は,半導体のバンド構造を理解する上で興味深いものであった.
(担当:寺井(鹿児島大),末益(筑波大))

■2013年春季第60回応用物理学関係連合学術講演会

2013/3/27 − 3/30
神奈川工科大学 


探索的材料物性では,シリサイド関連および探索的材料関連で,講演奨励賞受賞記念講演を含み合計39件の発表があった.主にBaSi2, β-FeSi2, Mg2Si, MnSi2, Fe3Si, TiO2などの基盤材料によるグリーンテクノロジーを目指した基礎と応用研究が多く発表された.また,カーボン系新規材料や熱電材料を目指したシリコンクラストレートの作製と物性評価,第一原理計算による新物質探索や偏析に関して活発な議論が行われた.BaSi2を用いた薄膜太陽電池の開発に向けた研究(筑波大)では,不純物ドーピングによる伝導型およびキャリア密度の制御や,キャリア寿命時間の評価により,pn接合型太陽電池に向けた研究が進展していると感じられた.また,Mg2Siや用いた熱電素子(茨城大,東工大,岐阜大),AgコートSi基板を用いた高品質β-FeSi2膜の形成(九大,神奈川産技セ)にも注目が集まった.
(担当:末益(筑波大)、寺井(鹿児島大))

■2012年秋季第73回応用物理学会学術講演会

2012/9/11 − 9/14
愛媛大学・松山大学  
 


探索的材料物性では、シリサイド関連および探索的材料関連で合計37件の発表があった.主にβ-FeSi2, BaSi2, Mg2Si, MnSi2などの基盤材料によるグリーンテクノロジーを目指した基礎と応用研究が多く発表された.さらに, 白色LED用のカーボン系新規材料,熱電材料を目指したシリコンクラストレートの作製と物性評価, AuによるSiナノ粒子形成の第一原理計算など,探索的材料の実験と理論に関して活発な議論が行われた.BaSi2を用いた薄膜太陽電池の開発に向けた研究(筑波大)では,不純物ドーピングによる伝導型およびキャリア密度の制御や,成長条件の最適化によるBaSi2粒径拡大の研究が進展していると感じられた.また,Mg2Siを用いた熱電素子,β-FeSi2を用いた赤外領域の発光源・光センサに関する研究の進展にも注目が集まった.(担当:寺井(阪大)、末益(筑波大))

■2012年春季第59回応用物理学関係連合学術講演会

2012/3/15 − 3/18
早稲田大学 早稲田キャンパス 


探索的材料物性では、シリサイド関連および探索的材料関連55件の発表があった.分科内招待講演として宇佐見氏(東北大)よりシリコンのナノ構造体と結晶を融合した新しいコンセプトの太陽電池の現状と今後の展望に関する講演があった.一般講演では,資源・環境の観点から希望を託す元素(Elements of hope)から構成されるβ-FeSi2, BaSi2, Mg2Si, MnSi2などの基盤材料によるグリーンテクノロジーを目指した基礎と応用研究が多く発表された.特にBaSi2薄膜太陽電池(筑波大),Mg2Si熱電素子・赤外センサ(茨城大)に関する研究の進展に注目が集まった.その他,酸化物,カーボン系新規材料の作製と物性評価など,探索的材料の実験,理論に関して活発な議論が行われた.(担当:寺井(阪大)、末益(筑波大))

 

■2011年秋季第72回応用物理学会学術講演会

2011/9/11 − 9/14
長崎大学 文京キャンパス 


探索的材料物性では,シリサイド関連および探索的材料関連の合計31件の発表があった.鉄シリサイド関連では,β-FeSi2薄膜の電気特性(阪大,神奈川産技セ)および発光・発光寿命(京大,阪大)に関する発表があり,物性解明の着実な進歩について報告された.また,β-FeSi2フォトニックバンドを用いた新規赤外光源(京大),Fe3Siを用いたトンネル磁気抵抗素子(筑波大)などの興味深い新規デバイスの提案がなされた.BaSi2(筑波大, 東北大, NIMS),MnSix,Mg2Si(茨大,静岡大)関連では,太陽電池,熱電素子開発を目指したキャリア制御,pn接合の作製などの最新の成果が報告された.全体を通して,資源・環境の観点から希望を託す元素(Elements of hope)から構成されるシリサイドをベースに,グリーンテクノロジーを目指した研究が進んでいると感じられた.その他の探索的材料では,Al2O3を母体とした新規発光材料(千歳科技大),カーボン系材料(龍谷大,横浜市大,東海大,阪大)の作製および電気特性に関する興味深い結果が発表された.以上のように,多様な材料と物性に関する発表があるとともに,それぞれの分野の研究者が相互的に意見を出し合うことで終始活発な議論が行われた.(担当:寺井(阪大)、末益(筑波大))

■2010年秋季第71回応用物理学会学術講演会

2010/9/14 − 9/17
長崎大学 文京キャンパス 


探索的材料物性では,シリサイドの半導体・磁性体関連23件,探索的材料関連11件の合計34件の発表があった。 シリサイド関連では,BaSi2(筑波大, AIST, NIMS),Mg2Si(岐阜大),Mn11Si19(茨大)などを用いた太陽電池, 熱電素子に関する研究が発表された。また,β-FeSi2では電子構造解析(東理大,茨大), 電気特性(阪大,神奈川産技セ,筑波大)の最新の進展状況や,赤外吸収・赤外光源の開発(京大) といった新たな知見,アイデアが発表された。その他の探索的材料では,化合物半導体に関する理論的研究 (和歌山大,島根大)や,興味深い希土類化合物,酸化物を対象とした電気および光学特性が発表された。 以上のように,「探索的材料物性」ならではの多様な材料と物性に関する発表があり,活発な議論が行われた。 (文責、世話人:寺井(阪大)、末益(筑波大))

寺井(阪大),末益(筑波大)

■2009年春季第57回応用物理学関係連合学術講演会

2010/3/17 − 3/20
東海大学 湘南キャンパス 


探索的材料物性では、シリサイド半導体・磁性体関連29件、その他半導体関連8件の合計37件の発表があった。 分科内招待講演(NTT)では、Mnシリサイドナノ粒子における興味深い磁気特性が発表された。 また、講演奨励賞受賞記念講演(九大)では、Fe3Si/Siショットキー障壁を用いた室温スピン注入の報告があった。 シリサイド関連では、Fe3Si薄膜の磁気光学効果(京大)、β-FeSi2/Si界面の構造評価(若狭湾エネ研、九大)、 原子状水素を用いたβ-FeSi2の成長(筑波大)、β-FeSi2のフォトリフレクタンス評価(阪大)、 β-FeSi2薄膜の電気伝導特性(神奈川産技センター)、Mg2Si単結晶を用いた赤外検出素子の開発(茨大)等、 着実な研究の進展が報告された。特に、BaSi2薄膜を用いた太陽電池の開発(筑波大)では、 トンネル接合の作製技術の構築、ショットキー型太陽電池の試作等の発表がなされ、今後の進展が注目される。 部屋はほぼ満席でこの分野への関心の高さが伺えた。その他半導体関連では、4H-SiCにおける真性欠陥の理論的検証(東北大)など、 「探索的材料物性」ならではの興味深い報告がなされた。 (文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))

■2009年秋季第70回応用物理学会学術講演会

2009/9/8 − 9/11
富山大学 


探索的材料物性は、ショート講演付きのポスターセッションで奨励賞記念講演1件を含む29件の発表があった。 奨励賞講演では、Ge基板上のFe3-xMnxSiに続きフルホイスラー合金のCo3-xFexSi高品質成膜の進展が紹介された。 シリサイド半導体・磁性体関連では、スピンFET、薄膜太陽電池への応用研究の進展が目を引いた。 特に、磁性体シリサイドをスピン注入電極に利用したFe3Si/Siショットキー界面の空間電荷層を薄くし、 トンネル伝導によってスピン注入させた成果(九大他)やSi基板上のBaSi2層のトンネル接合の作製(筑波大)は デバイス化への重要な成果と言える。また、物性面ではフォトリフレクタンスによるβ-FeSi2膜の歪みとバンド構造の関係(阪大) やβ-FeSi2の表面電子構造計算(茨大)の発表があった。その他材料関連は7件の講演があり、 グラフェン単層膜の作製(北大他)やLaAlO3中の不純物同定(早大)等が興味深かった。 今回はグラフェン関連の発表が1件になり、他分類分科への集約の影響が見られた。 (文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))

■2009年春季第56回応用物理学関係連合学術講演会

2009/3/30 − 4/1
筑波大学 


探索的材料物性では、シリサイド半導体・磁性体関連27件、グラフェン関連4件、その他半導体関連7件の合計39件の発表があった。シリサイド関連では、β-FeSi2膜の格子歪みとエネルギーギャップの変化(阪大)、シリサイドフォトニック結晶における入射効率の評価(京大)、Si基板上BaSi2膜からの分光感度特性(筑波大)等の着実な研究の進展があった。特に、室温強磁性Fe3-xMnxSi/Geのエピタキシャル成長(九大・京大)の結果は、スピンFETのスピン注入電極への応用が期待され、今後の進展が注目される。グラフェン関連では多層グラフェンを用いたバンドギャップ誘起やFET特性に関する講演が活発に行われた。部屋はほぼ満席でこの分野への関心の高さが伺えた。グラフェンは他分類分科でも講演があるが、本分科では「半導体B」らしく電子伝導物性やデバイス関連の講演が集まっていると感じた。その他半導体関連では超重力場を利用した半導体中への不純物拡散(熊大、原機構)の講演が興味深かった。
(文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))

■2008年秋季第69回応用物理学関係連合学術講演会

2008/9/2 − 9/5
中部大学


探索的材料物性では、多様な材料とその物性についての発表があり、活発な議論がなされた。特にグラフェン関係ではSdH振動(北大)、量子ホール効果(東大)、SiC上のグラフェンに関する興味深い発表があり、今後の発展がおおいに期待される。シリサイド関連では、鉄シリサイド(β-FeSi2、Fe3Si)、アルカリ土類シリサイド、Siクラストレートなどの作製、光学特性、磁気特性に関する多数の発表があった。特に、Fe2MnSi(関大)、BaSi2(産総研)、β-FeSi2(名大・茨城大)の電子状態計算といった理論計算の進展が感じられた。また、Fe3Siの誘電関数(京大)、β-FeSi2の表面電界強度(阪大)・発光特性(茨城高専)などの報告もあり、基礎物性の着実な進展があった。

また、結晶成長分科会・シリサイド系半導体と関連物質研究会の共同企画で「シリサイド系材料が開く新しい応用技術−結晶工学から斬るシリサイド系材料の可能性」とと題したシンポジウムが開催された。多様なシリサイドの成長(静岡大・立岡)、バンドギャップエンジニアリング(筑波大・末益)、フォトニックデバイスへの展開(京大・前田)、強磁性体シリサイドの成長(九大・佐道)、ナノ構造の作製(東大・中村)、熱発電デバイスへの応用(東理大・飯田)、金属シリサイドの物性制御(名大・中塚)、ショットキー接続技術(東芝・木下)の発表があり、シリサイドの多種多様な分野への研究展開が印象であった。
(文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))

■2008年春季第55回応用物理学関係連合学術講演会

2008/3/27 − 3/30
日本大学 船橋キャンパス


探索的材料物性では,分科内招待講演1件を含む48件の発表があり,活況であった.分科内招待講演では,NIMSの関口氏よりEBICの原理と観察事例(Siの転位・粒界,SiCエピ膜の欠陥,MOSFETのリーク解析)の紹介があり好評であった.シリサイド関連では,Fe3Si/Ge,Fe3Si/SiなどSiスピンエレクトロニクスを目指した報告の増加が目立った.特に良好な原子層エピを実現できたFe3Si/Ge(九大・京大)では,スピン注入など特性評価への進展を期待したい.また,β-FeSi2の発光とフォノン+間接励起子の関係(京大)やβ-FeSi2単結晶受光素子のキャリア拡散長(40μm)の報告(筑波大・NIMS)は,この材料の物性を見直す興味深い報告であった.
(文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))


■2007年秋季第68回応用物理学関係連合学術講演会

2007/9/4 − 9/8
北海道工業大学

探索的材料物性では、55件の発表があり、全体を通じて活発な議論がなされた。シリサイド関連では、β-FeSi2単結晶の清浄表面(原子力機構・茨大)、高圧下でのα-FeSi2結合の特異性(物材機構他)、β-FeSi2ナノ粒子形成の直接観察(阪大)、Si/β-FeSi2/Si-LEDの発光効率の改善(筑波大)、Fe3Si/Ge多層へテロ構造(九大・京大)などの報告があり、基礎と応用両面で研究の進展を感じた。特に、3C-SiC上のβ-FeSi2エピタキシャル成長(神奈川産技セ)とシリサイドフォトニック結晶の共役反転格子(京大他)のアイデアは注目を集めた。また、シリサイド以外では、希土類層状酸化物やカーボン系材料などの発表があり、探索材料の広がりが印象に残った。
(文責、世話人:鵜殿(茨大)、寺井(阪大))

■2007年春季第54回応用物理学関係連合学術講演会

2007/3/27 − 3/30
青山学院大学


探索的材料物性では、ポスター形式で49件の発表があった。
シリサイド関連では、これまで中心的であったβ-FeSi2以外に、強磁性材料のFe3Si膜やII-IV族のBaSi2、 Mg2Siに関する報告が増加した。中でも、原子層レベルで急峻な界面を持つFe3Si膜がGe基板上に130℃の低温で成膜できる報告(九大・京大)、β-FeSi2基板表面の酸化膜除去と明瞭なステップ構造を持つホモエピタキシャル膜の成長(茨城大)、BaSi2膜の不純物ドーピング特性(筑波大・AIST)が興味深く、研究の広がりを感じた。
また、シリサイド関連以外ではグラファイト超薄膜の電気伝導が印象的で、超薄膜の合成法が確立できれば急速な研究の進展が期待できる分野である。
(文責,世話人:前田(京大),鵜殿(茨城大))

■2006年秋季第67回応用物理学関係連合学術講演会

2006/8/29 − 9/1
立命館大学 びわこ・くさつキャンパス


田中雅明先生(東大、分科内招待講演)より、スピントランジスタを用いた再構成可能な論理回路とIV族スピントロニクス材料に関する先駆的な研究内容の紹介があった。
シリサイド系半導体では、高純度鉄(5N)を使ったβ-FeSi2バルク・薄膜の電気特性や発光特性の報告が相次ぎ、鉄純度の重要性が再認識された。
また、β-FeSi2, Fe3Si膜のドライエッチング技術、β-FeSi2単結晶基板上へのホモエピタキシーの成功、SPE法でのFe3Si膜の合成、Mg2Si, Mg2Ge, BaSi2へのドーピングやBaSi2/Siヘテロ構造のバンド不連続に関する報告など研究の着実な進展を感じた。
(文責,世話人:前田(京大),鵜殿(茨城大))


8月30日 13:00〜17:05 RD会場
シリサイド系半導体と関連物質研究会合同企画シンポジウム
「シリサイド半導体研究10年の進捗」

総括(京大:前田)



「イントロダクトリトーク:シリサイド半導体研究10年のトピックス」
 静岡大・立岡

「基板作製への挑戦:バルク結晶成長」
 茨城高専・原

「機能界面への挑戦:ヘテロエピタキシャル成長」
 筑波大・末益

「低温形成への挑戦:微小液滴成長」
 産総研・奈良崎,佐藤,川口,新納

「あたらしい物性を求めて:Fe-Si系薄膜の物性」
 岡山理大・財部

「あたらしい構造を求めて:強磁性シリサイド単結晶薄膜とその機能」
 九州大・佐道,宮尾

「あたらしい応用を求めて:高屈折率シリサイド・フォトニック結晶への展開」
 京大・前田

 総合討論(30分)
 九大・宮尾

8月31日 13:00〜13:30 RD会場
半導体B・探索的材料物性分科内招待講演
「IV族ベース・スピントロニクスデバイスと再構成可能な論理回路」
 東京大学・田中雅明

8月31日 13:30-13:45 RD会場
講演奨励賞受賞記念講演
「Siエッチングガスを用いたFe系シリサイドのサブミクロン加工:フォトニック結晶の作製を目指して」
 京都大学・今井章文

一般講演
RD会場
8月31日 10:00〜 11件
9月 1日 9:00〜  12件



■2006年春季第53回応用物理学関係連合学術講演会

2006/3/22 − 2006/3/26
武蔵工業大学 世田谷キャンパス(世田谷区玉堤1-28-1)

D、C会場
3月25日 10:00−18:30 一般講演 28件
3月26日  9:00−14:45 一般講演 16件

分科内招待講演(3月26日 13:00-13:30)
「窒化鉄薄膜の成長と自動車用磁気センサーへの応用について」
        中村高遠 先生 静岡大学工学部

[12.1探索的材料物性] 探索的材料物性では,中村氏(静岡大)より窒化鉄薄膜と自動車用磁気センサーへの応用について分科内招待講演があった。シリサイド分野では(Ba1-xSrx)Si2,Mg2(SixGe1-x)混晶系,Ca5Si3,Sr5Si3,強磁性Fe3Si/Ge低温エピ成長など新しい成果が報告された.基幹材料β―FeSi2については、多結晶基板の作製、原料純度と移動度、ナノワイヤ、バイオプロセスによるナノ結晶作製,β-FeSi2フォトニック結晶を目指したサブμmドライエッチングなどが特に印象的であった.(京大:前田 世話人

■2005年秋季第66回応用物理学関係連合学術講演会

2005/9/7 − 2005/9/11
徳島大学 常三島キャンパス (徳島市南常三島町1−1)

S会場
9月10日 10:00−15:45 一般講演 18件
9月11日  9:45−11:30 一般講演 12件

探索的材料物性では,β-FeSi2の高輝度発光を目指した2ステップアニールによる界面改善(京大),
銅添加による不純物発光バンド増強(阪大)とエピ成長促進(神奈川産総研),ダブルへテロ構造LED
(筑波大)などが印象的であった.また,β-FeSi2の反応性イオンエッチング(産総研),偏極スピン電極
を目指した強磁性体Fe3Siエピ成長と物性(筑波大,九大),薄膜中の残留不純物(金沢工大),BaSi2
薄膜, Mg2Si単結晶,ErSi2ナノワイヤなどそれぞれ着実に研究成果を重ねている.
(12.1 探索的材料物性世話人 前田)


■2005年春季第52回応用物理学関係連合学術講演会
(埼玉大学 3月29日〜4月1日)

分科内招待講演に吉田豊氏(静岡理工大)を招き,メスバウアー分光とその場観察によって明らかにされたFe原子の置換格子位置固溶,FeSi2形成(873〜1173K),Fe原子拡散による相転移過程など知見が紹介された.探索的材料物性では、ナノチューブ,ポーラスGaP,室温光CVD-GANナノ結晶など多彩な物性の報告があった.シリサイド半導体関連では、β-FeSi2高輝度発光を目指した結晶制御,薄膜形成の高度化と物性研究が活発であった.また,CVD,MBE,スパッタによるシリサイド強磁性体Fe3Si作製など新しい試みにも今後の進展が期待される.(12.1 世話人 前田:京大)

○3月31日(木) 13:00-18:00
分科内招待講演(13:00-13:30)
「メスバウア分光によるFeSi2形成過程のその場観察 」
        吉田 豊 先生 静岡理工科大学
一般講演 17件
β-FeSi2の発光(PL,EL),薄膜成長,バルク結晶成長,界面評価,
BaSi2などその他のシリサイド半導体など

○4月1日(金)  9:00-14:45
一般講演 18件
各種方法によるβ-FeSi2薄膜成長,Fe3Si強磁性薄膜,磁性体ナノドットなど


■2004年秋季第65回応用物理学関係連合学術講演会 
  東北学院大学 泉キャンパス(仙台市泉区) 9月1日 〜 4日

探索的材料物性12.1は、28件のポスター発表があった.このセッションはシリサイド半導体の基礎物性に軸足をおいた多彩な新規材料を知ることができる格好の場に着実に成長をしている。また,このセッション以外でもシリサイド半導体の研究報告があった.シリサイド半導体関連は、結晶成長制御,エピ成長,薄膜作製,発光増強メカニズムの解明,表面科学など全体として着実な研究レベルの進展が見られた。特に筑波大のグループははBa1-xSrxSi2膜のエピタキシャル成長に成功し、太陽電池材料を狙った挑戦的な内容で印象的であった。(世話人:前田)

■2004年春季第51回応用物理学関係連合学術講演会
 東京工科大学 3月28日〜31日

3月29日 13:15-17:45(ZZ会場)
     
1998,1999,2000年のシンポジウムを引き継ぐ4回目のシリサイド半導と関連技術の最先端シンポジウム「シリサイド半導体の現状と新展開」を開催.
130名ほどの参加者があり,盛大に開催されました.
シンポジウムの締めくくりに提案されたシリサイド半導体のロードマップをアップしました.(茨城大学 鵜殿先生作成)

財部氏(岡山理大)より β-FeSi2の基礎物性に関する講演があった。化学結合状態からバンド構造、光学特性、輸送特性がわかりやすくまとめられ、短時間で鉄シリサイドの基礎物性を概観できる内容であった。
山内氏(阪大)は, β-FeSi2バルクの形成過程について,融液からの凝固,固相変態機構の研究結果を中心に講演した。変態速度が極めて遅いことで知られる鉄シリサイドの包析変態(α+ε→β)が,Cuの微量添加で格段に速くなること,固相変態したバルクβ相中にSiサイトのvacancyが規則的に配列した長周期構造が見られることなどの紹介があった。
舟窪氏(東工大)らは,Si基板及び酸化物基板上への β-FeSi2薄膜成長について講演した。格子不整合が12%にもなる β-FeSi2(100)/Al2O3(001)のエピタキシャル成長など,酸化物上への成膜ができることを紹介した
寺井氏(大阪府大),前田氏(京大)は,イオンビーム合成法で作製した -FeSi2/Siの1.54μm付近の発光特性を詳細に評価し,その結果β-FeSi2中のSiサイトの原子空孔が非発光センターとなる可能性を指摘した.
馬場氏(横浜国大)はSOI基板上のSi細線を用いた波長1.5μm帯の光導波路について講演し,Siの大きな屈折率を利用してμmオーダーの急激な曲げや分岐,交差をもつSi細線導波路や光素子が実現できること,また加工技術の進歩によってSi細線導波路の低損失化(~1dB/cm)が進んでいることなど,チップ内光インターコネクションを睨んだ研究が進展していることを紹介した。
 柳原氏(東北大)は,Fe/Si磁性多層膜界面に相互拡散層が容易に生じてしまう問題について言及し,軟X線発光分光測定でFe/Si多層膜中のFe-Si界面に生じるFe-Si化合物層の組成及び膜厚を評価できることを紹介した。
 今井氏(産総研)は,アルカリ土類金属(Mg, Ca, Sr, Ba)シリサイドの電子構造計算を行い,Sr2Si(0.4eV), Ca2Si(0.36eV)が直接遷移型のバンド構造を持つと予測されることを報告した。
立岡氏(静大)はアルカリ土類金属シリサイド半導体膜の成長法について講演し,これまでにBaSi2, Mg2SiおよびCa2Si膜が作製されていることを紹介した。

3月30−31日 一般講演 (R会場)
谷氏(大阪市工研)の分科内招待講演は,シリサイド半導体のバンド構造,不純物準位,空孔形成について,実験との対比を行った示唆に富む内容であった.最近,鉄シリサイド中の固有欠陥が注目されている時期だけに的を得た講演であった.一般講演では,鉄シリサイド固有のPL寿命が16ns程度であること,発光強度がアニール雰囲気や結晶界面の整合性,多層化によって増大することが報告され,発光起源の理解が着実に進んでいる.また,BaSi2, Ca2Siなどアルカリ土類シリサイドの作製と物性の研究も着実に成果を上げている      


■IUMRS-ICAM2003 C7 Symposium on Semiconducting Silicides, Yokohama October 11-13 2003.
 
 シリサイド半導体の国内初の国際シンポジウムが横浜で開催されました.
 78件の発表(招待講演10件,一般講演68件)があり盛大でした.

 プログラムは http://www.mrs-j.org/ICAM2003/ie/html_p/PC-7.html にUPされています.

 Borisenko先生,Arushanov先生,Mahan先生などシリサイド半導体の指導的研究者の講演は頭に滲みる見事なものでした.論文はThin Solid Filmsの特別号として2004年に出版すべく,編集作業終了しました.


■2003年第64回秋季応用物理学会学術講演会
福岡大学9月1日〜2日 ZB会場 シリサイド半導体関連口頭発表35件ありました.

 概要:
  鉄シリサイド,バリウムシリサイド,マグネシウムシリサイドなどの成長に関する手法や評価法に進展があった.特に,今回の注目すべき研究は,β−FeSi2の発光が,基板からのSi拡散およびAlドープ(Siと置換)によって増強し,逆にMn,Coドープ(Feと置換)では減衰することが報告された(阪府大,神奈川産総研).これはβ−FeSi2中のSi空孔またはFe未結合手や鉄原料の主な不純物であるMnが非発光中心として働き,それを抑制すれば発光が増強することを示した重要な実験事実である.

■2003年春季第50回応用物理学関係連合学術講演会
 神奈川大学 3月27日〜30日

3月29日 ZD会場 午前・午後 29件の口頭発表:作製法,結晶構造,PL,ELなど 3月30日 ZD会場 午前・午後 16件の口頭発表:作製法,光学,電気など物性

 シリサイド半導体関係の45件の講演がありました.益々盛り上がっています.

概要:鉄シリサイド関係講演が45件あった.全体の印象として,結晶成長法の広がりと高圧物性,光物性(光吸収,PL)の蓄積が着実に進んでいる.特に脱真空が目的の溶融塩法による鉄シリサイド薄膜成長(静岡大),誘電体基板(YSZ)上でのエピタキシャル成長の実現(東工大),ドロップレットを利用したシリサイド低温生成(東大),研磨したSi基板への連続膜形成(信州大)など意表を突く成果が好評であった.
オーラル発表では,最高120名の聴衆が集まり盛況でした.

■2002年第63回秋季応用物理学会学術講演会
 新潟大学 9月24日〜27日

 9月26日 ZC会場 午後 18件の口頭発表:作製法,結晶構造
 9月27日 ZC会場 午前 12件の口頭発表:光学,電気など物性

 シリサイド半導体関係の30件の講演がありました.

■文部科学省の「ナノテクノロジー・材料に関する研究開発の推進方策について」答申書が6月出ました.興味深いのは,報告書p.53に次世代フォトニクス材料としてInGaN,ZnO,シリサイドが環境にやさしい高輝度発光ナノ材料として挙げられています.

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/

■2002年春季第49回応用物理学関係連合学術講演会
 東海大学湘南校舎 3月27日〜30日

 3月29日 V会場 午後 招待講演1件+14件の口頭発表
 3月30日 体育館 午前 20件のポスター発表

シリサイド半導体関係講演の速報 34件の一般講演がありました.
オーラル発表では,最高140名の聴衆が集まり盛況でした.

概要
シリサイド半導体関連(34件)の講演には,研究の着実な進展が多々みられました.
(1)電子線回折の消滅則を利用したβ-FeSi2のb,c軸結晶配向の決定(九州大)
(2)表面ナノ構造,Fe3Si磁性シリサイド表面ナノ構造(物質研,阪大産研,東工大)
(3)非晶質FeSi2薄膜(九州大)
(4)BaSi2の作製と物性(筑波大)
など新しい試みが印象深い講演でした.

3月28日 ZH会場午後 シンポジウム「環境側面から見た半導体・情報産業」
このシンポジウムでは前田が環境半導体研究会を代表して発表しました.
鉄シリサイドの開発からエコエレクトロニクスへの多難なロードマップをもとに研究の現在と展望を説明しました.
また,国連大学のエリック・ウイリアムス博士の半導体ライフサイクルアセスメントのご講演は興味深いものでした.
論文は前田がいただいていますので,ご紹介できます.


■第62回応用物理学会学術講演会(愛知工業大学)

中分科「半導体B」12.1探索的材料物性にβ‐FeSi2やCa2Siなど
シリサイド系半導体と関連物質についての結晶成長,基礎物性,応用などの講演19件が集中しています.
以下に主だったトピックスをまとめます.(あくまでも私的見解です.)

@MOCVDを用いたβ‐FeSi2 p−nホモ接合の作製.
その理想接合特性に注目すべき進歩がありました.高効率太陽電池への応用が楽しみです.
(神奈川県産技総研,東工大)
A第1原理計算によって予想されている格子ひずみと発光特性.
ヘテロ界面でa軸方向に5%引っ張りひずみをHREMで確認.(筑波大)
Bβ‐FeSi2ナノ結晶のIBSと強い発光特性.
平均径10nmのナノ結晶中に励起子の量子閉じ込め効果を検討.(阪府大).
C部分イオン化蒸着技術によるβ‐FeSi2の面方位選択成長(電機大)
Dディスク状多結晶基板成長の成功(茨城大)
E高配向薄膜の結晶成長,スパッタリング法,IBSD,PLDによって着実な進捗がありました.
Fβ‐FeSi2の組成制御による伝導型(p,n)の制御を確認(東工大,筑波大)
GCa2Si/Mg2Si/Si,MgCa/Si,MnFe/Siヘテロ構造の作製,Ca2Siのバンド計算と光学特性(Eg<1eV).
(静岡大,阪府大,ミラノ大)

また,応用物理学会論文賞「JJAP論文奨励賞」受賞記念講演
「β‐FeSi2を活性領域とする1.6μm帯室温発光Si−based LED:光インターコネクション用光源を目指して」
(末益崇氏ら,筑波大)がありました.